食を通じて
地域のお客様に
幸せを提供します

康正産業株式会社様
代表取締役
肥田木 康正様

1996年ワタミフーズサービス株式会社に入社し、外部の外食産業で経験を積んだ後、2000年に康正産業株式会社に入られました。05年に代表取締役に就任されています。9業種51店舗(9月現在)の飲食店を展開しており、コロナ禍では既存店を持ち帰り専門店に転換するなど、時代や環境に合わせた経営を続けておられます。13年から鹿児島県飲食業生活衛生同業組合理事長、14年からは一般社団法人日本フードサービス協会副会長もお務めです。

事業紹介

 南九州の地場外食産業として先代が1968年に創業し、74年に都城市で味処熊襲店をオープンさせたのが始まりです。日本経済の成長に呼応するように外食産業も繁栄し、鹿児島、熊本、宮崎、大分においてニーズに応えながら現在は9業種51店舗を出店しています。父は戦争を経験し幼少期は貧しい時代を過ごしましたので、「家族団らん」外で楽しく食事をすることに憧れがあったと思います。社是の最初に記されている「食は命の根源」という言葉に重みを感じています。

過去にあった危機とその克服

 やはり直近では新型コロナの感染拡大ですが、2000年代初頭から発生したBSE(牛海綿状脳症)も大きな社会問題でした。さらに牛肉偽装事件が相次いで発生し、畜産、流通、消費者を巻き込んで食の安全性が問われました。私たちの「焼肉はいから亭」も打撃を受けましたが、幸い「寿司まどか」が支えてくれました。また、O157が流行した際は「寿司まどか」が影響を受けましたが、今度は「焼肉はいから亭」がカバーし、多業種展開が結果としてリスクヘッジとなりました。

 飲食店の経営には、食品衛生法や労働に関する法律を遵守する必要がありますが、業界全体の業法的なものは無く、コロナ禍で初めて行政から営業に関する指導がありました。営業時間やサービス内容が大幅に制限され、売上高も直視できない状況でした。先が見えない状況が続きましたが、改めて自分たちの存在意義を見つめ直す機会にもなりました。サントリーホールディングスさんが2021年11月から展開された「人生には、飲食店がいる。」キャンペーンは、外出制限があるなか「人と人とのつながり」を担う飲食店という場所へ思いを寄せ、応援の気持ちをつなぐメッセージを発信するもので大変励まされました。

七福彩盛り付け

社長が大切にされていること

 今回のコロナ禍で我々の業界がいかに社会の中で生かされているのか、改めて実感しました。安心・安全で美味しい食事を提供するのは前提で、「誰のために何を提供できるのか」をいつも意識しながら、お客さまが笑顔になれる場所を提供したいと思っています。私は社員に「お客様には3回笑顔になってもらえるチャンスがあります」と伝えています。予約したときの期待感、食事中の満足感、後日店舗の前を通ったときの良き思い出です。これからも時代に合った必要とされる店舗を目指していきます。

社長にとって経営とは

 飲食業として食を「点」として提供するだけでなく、自社のリソースを活用して地域の情報発信を行い、食を通して「面」としてとらえてもらおうと考えています。2013年に始めた握り寿司体験「康正寿司学校」は、寿司文化を体験できる場としてインバウンドの方々にも好評です。また、「地域の魚を知る」をテーマに鹿児島漁協と連携し、子どもさん向けの「寿司学校」も実施しています。さらに地元食材を活用し、食の観点から環境と社会に配慮したフードマイレージの削減にも取り組んでいます。

寿司学校

医療人材紹介事業「よかルート」にひと言

 私の会社では外国人材を活用しています。飲食業界に精通している外国人材協同組合さんにお世話になっていますが、やはり身近に感じられることが大切で安心できます。ベルダンさんは地元でマッチングまで対応されているので、医療関係の方々も信頼して紹介していただけると感じていると思います。

インタビュアーの声

 「美味しいものを食べて嫌な顔をする人はいない」と語る代表は、「食」を扱う企業のトップとして優しい笑顔と表情がとても印象的でした。「食」を通じて地域に役立つ企業を目指しておられ、観光に力を入れている鹿児島にあるからこそできる試みに使命感を持って向き合っておられました。