「大切なもの」を
「まごころ」と
共に包む

日之出紙器工業株式会社
代表取締役
守田 豊彦 様

1984年4月にレンゴー株式会社にご入社。各地の転勤を経て、2021年6月に日之出紙器工業株式会社の代表取締役社長に就任され現在に至ります。趣味のドラム演奏を学生時代から続けておられ、現在もジャズバンドでの演奏やライブ活動を行っていらっしゃいます。

事業紹介

 日置市に本社と鹿児島工場を構え、熊本・福岡など九州エリアに合計6工場、グループ会社6社があります。主に段ボール、美粧ケース(化粧箱)の製造販売と、さまざまな商品パッケージングの企画提案を行っており、段ボールの売り上げは九州でトップです。

 一方、環境問題にも配慮していて、段ボールを作るための板紙原料の95%は使用済み段ボールの古紙を再利用しています。製品のほかにも地域社会へ貢献できる企業を目指してSDGsの理念に賛同し、持続可能な社会の実現に取り組んでいます。

過去にあった危機とその克服

 創業は昭和27年ですが、38年に過剰投資が要因と思われる経営不振に陥り、鹿児島県で第1号の会社更生法の適用を受けました。それから約10年間、再建に向けた厳しい期間がありました。

 そんな中、41年に鹿児島市から現在の日置市に誘致企業として移転し、苦労しながらも44年には、段ボールを貼り合わせる「コルゲータマシン」と呼ばれる設備を整えました。

 47年には業界最大手のレンゴー(大阪市)のグループ会社となり、さらに九州の同業企業を吸収合併しながら今の基盤をつくりあげてきました。段ボールは地元密着型産業です。地元のお客さまに助けていただいたからこそ、今があると思っています。

避難生活の緩和を目的とした段ボールベッド

社長が大切にされていること

 基本的に製造する製品は全てオーダーメイドです。お客さまの大切な商品を包む箱は一つとして同じものはありません。そこで最適なパッケージ、販売促進・作業性向上につながる包装形態、製品を守るための材質・品質などを提案しています。

 特にパッケージデザインについては社内に9人のデザイナーがいて、お客さまの商品に購買意欲をかきたててもらえるようなデザインや持ちやすい形状の設計など、売れる仕掛けを意識しています。エーダッシュデザインアワード名誉賞銀賞、レッドドットデザインアワード賞、グッドデザイン賞など各コンペティションで賞もいただきました。

グッドデザイン賞受賞「段ボールロボ」

 また、最近注目されているのが物流問題です。お客さまの商品をいかに効率良く運べるか、収納方法も含めた段ボールケースの開発が重要です。高騰している材料費やサイズによる物理的コストに加え、梱包作業の効率化で人的コストも抑えることが可能です。

 九州地区では佐賀、沖縄を除き工場があり、商品の特性上、地元のお客さまとのつながりが何より大切で、地域貢献が欠かせないと考えています。特に本社のある日置市では、「子育て支援」に積極的に関わっています。

 同市では、赤ちゃんが生まれたご家庭に応援の意味を込めて育児グッズが入ったマタニティボックスをプレゼントしており、そのお手伝いをしています。ほかにも保育園紹介動画制作や中学・高校の女子サッカーチームへの協賛などを行っています。

日置市マタニティボックス

社長にとって経営とは

 企業の根幹は人材です。私たちは製造業ですが、同時にお客さまを思いやるサービス業でもあります。物が動けばほぼ全てに段ボールは関わります。社員にはそのことの価値と重要性を理解してもらい、誇りをもって欲しいと思っています。

 そのうえで良い人材を育てる人的資本経営を推進していきたいと考えています。社員にはスキルアップのための支援など能力を引き出す人的投資を行い、その人材により判断される物的投資の向上なども踏まえ、より魅力のある企業に成長していきたいと思っています。

「よかルート」へひと言

 私自身、両親、義母とも高齢で要介護認定を受け、介護施設にお世話になっているため介護問題には非常に関心があります。日本の高齢者人口比率の推移をみれば、既に介護人材の人手不足などは社会問題として顕在化しています。

 実際に、社員に異動の相談をしても親の介護で動けないというケースもあり、会社経営にも影響を及ぼしつつあります。「よかルート」様の活動を通して、少しでも問題解決に貢献されることを期待しています。

インタビュアーの声

 福利厚生も非常に充実しており、「子育て支援」に関して女性社員の産前産後休業期間(計14週)の給与は100%保証、配偶者が出産した男性社員は連続7日間の育児休暇が2回まで取得できます。さらに、第3子以降には100万円のお祝い金を贈るなどの手厚い制度に、地域のリーディングカンパニーとして地域に貢献するという強い意志を感じました。